個人ストレージや組織で共有可能なファイルスペースなどを提供するクラウドストレージは、便利な反面「シャドーITの原因になるのではないか?」と利用を躊躇してしまう企業も少なくありません。そこで、組織としてセキュアな環境でクラウドストレージを用意すれば、シャドーITやその他の原因よって起こる情報漏えいなどを防ぐことができます。
マイクロソフトが提供するOneDrive for BusinessおよびSharePoint Onlineは、そうしたセキュアな環境で運用可能なクラウドストレージおよびクラウドで提供されるファイル共有スペースです。
今回は、この2つのサービスの違いについてご紹介します。
Office 365 > SharePoint Online > OneDrive for Business
最初に各サービスの関係性から整理していきましょう。そのためにOffice 365についても少し触れます。
概念としてはOneDrive for Businessがあり、その上にSharePoint Onlineがあってさらにその上にOffice 365が位置しています。Office 365とはSharePoint OnlineやOneDrive for Businessを含む、複数のコラボレーションツールをOfficeライセンスをクラウドサービスとして提供する製品です。
つまりOffice 365を契約するとSharePoint OnlineもOneDrive for Businessも付帯します。ただし、SharePoint OnlineもOneDrive for Businessも単体サービスとしても契約できます。
SharePoint Onlineを契約した場合OneDrive for Businessが付帯しますが、OneDrive for Businessを契約してもSharePoint Onlineは付帯しません。ですので各サービスの位置関係は「Office 365 > SharePoint Online > OneDrive for Business」となっています。
OneDrive for BusinessとSharePoint Onlineの違い
それではOneDrive for BusinessとSharePoint Onlineの具体的な違いについてご紹介します。
まずOneDrive for Businessは一般消費者向けのクラウドサービスとして提供されているOneDriveのビジネス版です。基本的な機能はOneDriveと同じですが、管理者がユーザーアカウントを管理できる機能が備わっています。利用できるストレージ容量に関してもOneDriveが5GBか50GBなのに対し、OneDrive for Businessは1TBと大容量です。ただしOneDriveで提供される毎月60分間の無料Skype通話はサポートしていません。
- OneDrive…ストレージ容量は5GBを無償で利用するか、月額249円で50GBに拡張する。この他毎月60分の無料Skype通話、ライセンス不要のOffice Onine、無料メールのOutlook.comが使用できる。
- OneDrive for Business…一般消費者向けのOneDriveを企業でも利用できるよう管理機能を特化させたクラウドストレージ。OneDriveの基本機能に加えてWindowsのエクスプローラーとMacのFinderをストレージに同期させたり、高度な検索・検出機能などを提供する。
次にSharePoint Onlineについて解説します。SharePoint Onlineはサーバー製品として多くの企業に導入されているSharePointのクラウドサービス版です。企業はWindowsサーバーを設置したりネットワークを整備しなくてもSharePointと同じ機能が利用できます。
SharePoint Onlineには大まかに「組織のファイル共有」と「ポータルサイト」としての2つの機能があります。従来はファイルサーバーを設置して共有スペースを作るのに対し、SharePoint Onlineならクラウド上に組織のファイル共有スペースを作成でき、かつサービス上でOfficeドキュメントを閲覧したり編集もできます。複数ユーザーで同じOfficeドキュメントを編集することも可能です。
個人用ストレージとしてはOneDrive for Businessが割り当てられるので、ユーザーごとに1TBのストレージ容量が付与されます。Officeドキュメントやその他のファイルは、個人用ストレージに保存するか共有スペースに保存するかが選択可能です。
もう一つ重要な機能であるポータルサイト。これはチームの情報共有を促進するためにチームサイトを作成したり、組織全体の広報板として活用するための企業サイトを作成したり、外部公開用のWebサイトを構築することもできます。
SharePoint Onlineには予め複数のテンプレートが用意されているので、ソースコードを書くことなくサイト作成が可能です。
たとえばチームサイトを作成する理由は、チーム内の情報共有を一ヵ所に集約するためです。チームごとにファイル共有スペースが与えられるため、外部からの不正なアクセスを防ぎつつコラボレーションを促進できます。
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OneDrive for BusinessとSharePoint Onlineを利用するには?
OneDrive for Businessを利用する場合は単体サービスとして契約するか、SharePoint Onlineを契約するか、Office 365を契約するかという3つの選択肢があります。
SharePoint Onlineを利用する場合は単体サービスとして契約するかOffice 365を契約することで利用できます。※Office 365の一部プランではOneDrive for BusinessとSharePoint Onlineをサポートしていません
各サービスの特徴を一覧で確認しましょう。
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OneDrive for Business |
SharePoint Online |
Office 365 |
プラン |
プラン1 月額540円 プラン2 月額1,090円 |
プラン1 月額540円 プラン2 月額1,090円 |
Business Essentials 月額540円 Business Premium 月額1,360円 Enterprise E1 月額870円 Enterprise E3 月額2,180円 Enterprise E5 月額3,810円 |
利用できるサービス |
OneDrive for Business
プラン2では高度なコンプライアンス機能とセキュリティ機能を提供
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OneDrive for Businessを含むファイル共有スペースやポータルサイト作成 プラン2では高度なコンプライアンス機能とセキュリティ機能を提供
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OneDrive for BusinessとSharePoint Onlineを含む、様々なコミュニケーションツールとOfficeライセンス Enterprise E3およびE3では高度なコンプライアンス機能とセキュリティ機能を提供
※Business EssentialsとEnterprise E1ではOfficeライセンスをサポートしていません |
以上がOneDrive for BusinessとSharePoint Onlineの違いです。単にビジネス向けのクラウドサービスを利用したいのか?あるいは、組織のコラボレーションを促進するようなファイル共有スペースが欲しいのか?それによって最適なサービスが異なってきます。目的や要件を確認し、最適なサービスを導入していただきたいと思います。
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