マイクロソフトが提供するビジネスアプリケーション作成ツールの「Power Apps(パワー・アップス)」。Excelのように関数を入力したり、PowerPointのように直感的な操作を行ったりすることで、ビジネスに必要なアプリケーションを「ノンプログラミング」で作成することができます。
本稿では、そんなPower Appsのライセンスプランについてご紹介しますので、利用検討時のためにご参考ください。
PowerAppsのライセンスプラン
Power Appsのライセンスプランは2つあります。それが「Power Appsプラン1」と「Power Appsプラン2」です。まずは2つのプランの価格と、機能の比較を一覧でご紹介します。
PowerAppsの比較 |
プラン1 |
プラン2 |
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1ユーザーあたりの月額料金 |
$7.00 (約772円) |
$40.00 (約4,410円) |
アプリの作成・実行・共有 |
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キャンバスとモデル駆動型アプリの作成 |
無制限 |
無制限 |
キャンバスアプリの実行 |
無制限 |
無制限 |
モデル駆動型アプリの実行 |
× |
〇 |
ブラウザまたiOSおよびAndroid対応のPowerAppsモバイルでのアプリ実行 |
〇 |
〇 |
Office 365のコンテキストにおけるキャンバスアプリの実行 |
〇 |
〇 |
オフラインでのアプリ実行 |
キャンバスアプリの基本機能 |
キャンバスアプリの基本機能 |
組織とのアプリの共有 |
〇 |
〇 |
データとシステムへの接続 |
||
Office 365データへの接続 |
〇 |
〇 |
Standardコネクタを使用したデータへの接続 |
〇 |
〇 |
Premiumコネクタを使用したデータへの接続 |
〇 |
〇 |
オンプレミスゲートウェイを使用した、オンプレミスデータへのアクセス |
〇 |
〇 |
カスタムコネクタを利用して自社のシステムに接続する |
〇 |
〇 |
Common Data Service でのデータの保存および管理 |
||
Common Data Serviceでのカスタムエンティティの作成 |
〇 |
〇 |
Common Data Serviceを利用するキャンバスの実行 Common Data Serviceを利用するモデル駆動型アプリの実行 |
〇 |
〇 |
関連付けられているビジネスルールと非同期ワークフローが含まれたエンティティへのアクセス |
〇 |
〇 |
カスタムリアルタイムワークフローが含まれたエンティティを利用するアプリの実行 |
× |
〇 |
カスタムコードプラグインが含まれたエンティティを利用するアプリの実行 |
× |
〇 |
Dynamics 365の制限付きエンティティへのアクセス |
× |
読み取り専用 |
Common Data Serviceデータベース容量(ユーザーライセンスごと) |
20MB |
250MB |
Common Data Serviceファイル容量(ユーザーライセンスごと) |
× |
2GB |
ビジネスプロセスを自動化する |
||
含まれるMicrosoft Flowプラン |
Flowプラン1 |
Flowプラン2 |
1ヵ月あたりのフロー実行(ユーザーあたり) |
4,500 |
15,000 |
モデル駆動型アプリでのビジネスプロセスフローの私用 |
× |
〇 |
環境を管理する |
||
Office 365管理者が確立したデータポリシーをサポートする |
〇 |
〇 |
環境およびユーザーポリシーのエンタープライズ級の管理 |
〇 |
〇 |
さまざまな接続とアプリの仕様に関する企業ポリシーを確立する |
〇 |
〇 |
Common Data Serviceでアプリ、フロー、データベースをデプロイする環境を作成および管理する |
〇 |
〇 |
一覧で比較してみると、プラン1とプラン2とでは機能差が少ないことが分かります。しかし大きな違いになるのは、「Common Data Service(コモン・データ・サービス)」の有無です。
Common Data Serviceとは?
ビジネスアプリケーション開発において最も重要かつ難しい課題が「データの連携」です。データベース構築は専門性が高く開発プロジェクトの大きなハードルにもなります。あるビジネスアプリケーションで生成されたデータは、他のビジネスアプリケーションで活用するにあたり、それぞれの環境に合わせたデータ形式に変換しなければいけません。
たとえば、各種センサーが生成したデータはいったんデータベースに蓄積され、分析基盤に合わせて加工・変換を行い、解析されます。基盤ごとに異なるデータ形式へ変換しなければいけない場合もあるので、データベース構築は非常に難しい問題なのです。
これがもし、データが蓄積される際に各ビジネスアプリケーションが使いやすい形式でまとめられていれば、ビジネスアプリケーションごとの変換は必要なく、自由にすばやく活用することができます。Common Data Serviceはまさにそのためにツールです。
Common Data Serviceにデータが格納されていると、Power AppsをはじめセルフサービスBIツールのPower BI、タスク自動化ツールのMicrosoft Flow、コラボレーションツールのOffice 365やクラウドERPのDynamics 365からそれらのデータを変換無しで利用することができます。
たとえば、従来Excelでデータを使っていた企業が、そのデータをCommon Data Serviceに取り込むことで、Power Appsでビジネスアプリケーションを開発したり、Power BIでデータの可視化・分析に取り組んだり、または特別な加工や設定がなくともDynamics 365でデータの利活用を行ったりすることができます。
このCommon Data Serviceがあるかないかで、Power Appsの活用方法が大きく変わってきます。そのため、Power Appsのプラン1とプラン2とでは、価格以上の機能差があると考えてよいでしょう。
Power Appsを他のサービスから利用する
実は、Office 365とDynamics 365の一部のプランから、Power Appsを利用することができます。そのプランとは以下の通りです。
<PowerAppsが使えるOffice 365プラン>
- Office 365 Business Essentials
- Office 365 Business Premium
- Office 365 Enterprise E1
- Office 365 Enterprise E3
- Office 365 Enterprise E5
<PowerAppsが使えるDynamics 365プラン>
- Dynamics 365 for Sales, Enterprise edition
- Dynamics 365 for Customer Service, Enterprise edition
- Dynamics 365 for Operations, Enterprise edition
- Dynamics 365 for Field Service, Enterprise edition
- Dynamics 365 for Project Service Automation, Enterprise edition
- Dynamics 365 for Team Members, Enterprise edition
- Dynamics 365 for Financials, Business edition
- Dynamics 365 for Team Members, Business edition
どのプランを契約するかによって、Power Appsで利用できる機能に違いがありますので、その点に十分注意しましょう。皆さんもこの機会に、Power Appsで独自のビジネスアプリケーションを作成してみてはいかがでしょうか?