2017年7月9日、米国ワシントンDCで開催されたMicrosoftのパートナー向けカンファレンス(協議会)にて、新たなサービス「Microsoft 365」が、同社の最高経営責任者であるサティア・ナデラ氏によって紹介されました。
同氏の説明では、Microsoft 365は最新のOS「Windows 10 Enterprise」、クラウドサービスの「Office 365」、エンドポイントセキュリティ対策「Enterprise Mobility+Security」の3つを統合し、月額課金制(サブスクリプションモデル)として提供するというものです。
新たなサービスとして注目している方も多いかと思うので、今回はこのMicrosoft 365について詳しく説明していきます。
Microsoft 365がターゲットとする企業像は?
新たなサービスであるMicrosoft 365がターゲットとするのは、「IT担当者がいない、または少ない中小企業」です。
中小企業の中には、IT担当者が駐在しておらず、アウトソーシングによってシステム運用を行っているケースも少なくありません。これにはIT担当者不在でもシステム運用が出来る、運用負担が軽くなるといったメリットがある一方で、多大なコストがかかるというデメリットもあります。
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しかし、だからといってIT技術者を即座に確保できるほど、日本という国はIT技術者が豊潤ではありません。経済産業省によれば、2017年時点でのIT技術者不足は、約22万人と慢性的に不足している状態です。
こうしたIT技術者不足を解決するのがMicrosoft 365です。OSとOfficeアプリケーション、さらにセキュリティ対策をすべて月額課金制のサービスとして提供することで、IT技術者のいない中小企業でも、システム運用なしにこれらのアプリケーションを導入することができます。
Microsoft 365を構成するサービスの紹介
ここでMicrosoft 365を構成する、「Windows 10 Enterprise」、「Office 365」、「Enterprise Mobility+Security」の概要について紹介します
Windows 10 Enterprise
現在Microsoftが提供している最新OSといえばWindows 10です。Windows 10 Enterpriseは、そのビジネス版と捉えていいでしょう。
Windows 10 Enterpriseはその他のエディションと比較して、管理機能に特化したOSです。
≪Windows 10各種エディションの比較(管理と展開)≫
Windows 10比較画像の挿入をお願いします
このように、管理と展開においてWindows 10 Enterpriseのみで提供されている機能が多数あります。いずれもIT技術者不在でも管理を簡素化するための機能であり、中小企業のOS管理を強力にサポートします。
もっと見る:Windows10 エディション
Office 365
Office 365はすでに利用している企業も多いでしょう。これは、ExcelやPowerPointなどのビジネスに欠かせないOfficeアプリケーションと、ExchangeやSharePointといった組織のコミュニケーションに欠かせないアプリケーションをクラウドで提供するサービスです。
従来Officeアプリケーションは端末ごとにインストールし、ExchangeやSharePointはシステムとして社内に構築するのが一般的でした。しかし、それでは管理負担が大きくなることで、中小企業はシステム運用をアウトソーシングするしか選択肢がなかったのです。
Office 365によりそうした環境は一新され、OfficeアプリケーションもExchangeやSharePointも、インターネット経由で提供されるようになったことで、管理負担の少ない導入が可能になりました。
ちなみに、Microsoft 365で提供されるアプリケーションの種類は、ExcelやPowerPointを含めた7種のOffice、ビジネスメールのExchange Online、ファイルシェアのSharePointオンライン、ユーザーごとに1TBのクラウドストレージ、オンライン会議のSkype for Business、チャットベースの共有スペースであるMicrosoft Teamです。
Enterprise Mobility+Security
Enterprise Mobility+Securityは、情報システムのセキュリティに重要な「ID&アクセス管理」、「ID不正利用監視」、「モバイルデバイス管理」、「データ保護」、「アプリ管理」の5つの対策と統合して提供するサービスです。それぞれの対策については、次のようなアプリケーションが実現します。
- ID&アクセス管理:Azure Active Directory Premium
- ID不正利用管理:Microsoft Advanced Threat Analytics
- モバイルデバイス管理:Microsoft Intune
- データ保護:Azure Information Protection Premium
- アプリ管理:Microsoft Cloud App Security
これらのセキュリティ対策サービスは、いずれもOffice 365と密接に連携するものであり、「インターネット上のサービスを利用する」というクラウドサービス特有の、セキュリティの不安を払拭するものです。
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Microsoft 365の価格や提供開始日は?
カンファレンスでの情報によると、Microsoft 365の価格は上位モデルの「Microsoft 365 Business」で月額20ドルという情報があります。現在のレートでは日本円で約2,300円なので、2,200円~2,500円程度で提供されると考えていいでしょう。ちなみに、月額はユーザーごとにかかる契約料金です。
肝心の提供開始日はというと、現在の情報では「2017年末」だといわれています。プレビューに関してはすでに提供されており、こちらは無料で試用可能です。ただし、プレビューの有効期限が終了すると使用できなくなるのでご注意ください。
まとめ
中小企業向けの新たなサービスMicrosoft 365。ビジネスの円滑な遂行に必要な最新OSやOfficeアプリケーション、さらにセキュリティ対策強化のためのサービスを統合提供しています。IT技術者が不足しているがIT戦略を強化したい、という企業はぜひご検討ください。
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